■ 読書備忘録(ビジネススキル、税務、心理学等に関する書籍の読書備忘録。キーエッセンスのみを引用。参考になれば幸い。)

・経済学のような「社会」科学の世界では、確立を数量的に扱うことは専門家がいくらはやしたてようが、ほとんど何もわからない。

・物事は私たちが思っているよりもたまたま。

・私たちは偶然が果たす役割を過小評価している。

・私たちは現代の世界に蔓延した、構造の複雑なランダム性に立ち向かえるように仕組まれてはいない。

・帰納・・・具体的なことをたくさん集めて一般化すること。

・植物や動物は世代が進むのと一緒にひたすら完璧な存在へ突き進むのだと信じている素人は多い。そんな考えを社会に応用して競争のおかげで企業や組織もより良い方向へまっしぐらだと信じている。一番強いものが生き残る。弱いやつは消え去るのみだ × ( ← それは違う)
物事はそんなに単純では無い。だいたい組織は自然界の生き物みたいに子供を生まないという事実を無視している段階でダーウィンの考え方を根本的に分かっていない。ダーウィンの説は「繁殖適応度」であって「生存」に関するものでは無い。

楽観主義ということは、自信過剰だから、楽観主義の人たちの方が大きなリスクをとりがちなのは明らかだ。そんな彼らのうち賭けに当たった人はお金持ちの有名人になって人前に出てくる。賭けに負けたそれ以外の人は人前に現れず分析対象から消えていく。

・人は自分が成功した場合、運の要素は認めないけれど、失敗した場合、全部運のせいにする。

・人は知識を過大評価し、自分が間違う確率を過小評価する。

・大数の法則・・・「過程」に基づく評価と「結果」に基づく評価について。
組織の下の方の人たち → 「過程」と「結果」の両方で評価される。仕事は何度も繰り返しがあるので過程は急速に結果へと収束する。
経営のトップ → 「結果」だけで報酬が決まる。「過程」は関係無い。まるで儲かりさえすればバカな判断なんて有り得ないかのようだ。CEOの能力と会社の業績の関係は薄い。

・『なぜ、この人たちはお金持ちになったのか』(Jスタンリー)
彼(Jスタンリー)は、お金持ちは「リスクをとる人たち」であることを発見した( ← これは正しい)。
また、リスクをとればお金持ちになれると推測した( ← これは間違い)。
彼が、失敗した企業家を対象に調査を行っていたら、失敗した企業家も「リスクをとる人たち」だと(正しく)推論できていただろう。

■ 私見
ダーウィニズム進化論の中で、強く賢く環境に適応するものが生き残る、という内容を、ビジネスの世界にもっていくのは危険だといえる。説は、繁殖適応度という世代間の進化をいっているのであって、一代に限って起こる進化のことを言っているわけではないからだ。会社組織は生まれ変わるわけではないし子供を産まない(笑)。そもそも、現実世界ではより強く賢い植物・生物が生き残っているわけでもない。

企業家・起業家は、特に楽観主義傾向にある場合、リスクに果敢に挑戦する傾向にある。そうすると、運で成功したケースもあれば運で失敗したケースもある。どんなビジネス書も啓蒙書も成功事例だけしか載せない。成功事例から分かることは「リスクに挑戦せよ、楽観的になれ」という共通項が現れる。このプロセスは帰納的である。おそらく、失敗事例を集めたビジネス書や啓蒙書を出せば売れるわけがないので出版社も二の足を踏んでそんな本が世に出るわけが無い。失敗事例から分かることは(成功事例と同じく)「リスクに挑戦せよ、楽観的になれ」だろう。皮肉な話だ。

Posted by:TAXDESIGN_Naoki Miyamoto

TDA株式会社代表取締役兼CEO & Founder, 税理士

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